
ニキビの中には皮膚科や美容皮膚科での通常のニキビの標準治療に反応しないものがあります。こうしたものは多くの場合、25歳以上の女性で月経前におこりやすいものが該当しており,さらに若いころにあまりニキビに悩まされることがなかった人にできやすいという傾向にあるのです。また、発生部位はそのほとんどが両下あごにコメドや炎症性ざ瘡が認められます。このような特徴を有する一群のニキビは血中男性ホルモンが高いことにより発症しやすい背景があり、月経不順や多毛を伴うことも少なくはないため、思春期後ざ瘡として区別されているのです。
そのため、通常の標準治療を2、3か月続けても反応しない場合や好発部位である両下あご部の炎症ざ瘡が難治である場合には、皮膚科に加えて、婦人科の診療を含めたホルモン学的検査を受けることも大事になります。また、この場合の治療としては、ホルモン療法をおこなうこととなり、黄体ホルモン代謝産物であるプレグナンジオールは軽度ながら血中の遊離テストステロンを低下させる作用があることや異常性ざ瘡に保険適用があることから医師による処方が認められている薬物の一つです。いずれにせよ、このような治療となると皮膚科のみの受診とはいかなくなるため、皮膚科医からの紹介で婦人科を受診するなどし、男性ホルモンの異常や卵管疾患の精査をおこない、必要であればニキビの改善のためにも、抗男性ホルモン治療を試みる価値はあります。
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